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adplus 特別編

ウェブにつながる新聞広告 ~ 「調べたい」気持ちを刺激する秀逸アイデア

新聞
【掲載日】2020年07月02日 【媒体】日本経済新聞 【段数】全15段
ウェブにつながる新聞広告 ~ 「調べたい」気持ちを刺激する秀逸アイデア

 「新聞広告の特徴は、特定の1日に何百万人もの読者に一斉にメッセージを伝えられること」と、この特集の第1回で述べました。ウェブと連動した広告の場合、メッセージを伝えられたら、その次は関心を持った人にどうやってサイトに来てもらうかが課題になります。
 新聞というオフラインの紙媒体からウェブサイトというオンラインのメディアをつなげる「ミッシング・リンク」を探して、各企業が知恵を絞っています。今回はこの難題に挑戦し、成功を収めた事例を紹介します。

「もう どう広告したらいいのか わからないので。」

5月29日に掲載された大日本除虫菊(キンチョウ)の広告は、そのアイデアの斬新さと内容のおもしろさで大きな話題を呼びました。

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 緊急事態宣言の期間中、この先どうなるかまったく予測がつかず、1カ月先の広告をどのようなトーンで作ればよいか、広告関係者にとって悩ましい日々が続いていました。その状況を逆手にとって、「前向きな自暴自棄」(ツイッターの投稿)の発想で作られたのがこの広告です。

 「緊急事態・外出自粛などが、まだ継続している場合」から「おめでとう!コロナに打ち勝った!の場合」まで、6パターンの事態を想定し、それぞれにQRコードを付けてウェブサイトに誘導しています。
 6パターンの最初の文字がそれぞれK・I・N・C・H・Oで始まるというマニアックな凝り方から始まり、QRコードの先にある6パターンの「金鳥新聞」の完成度の高さ、内容の面白さが秀逸で、すべてのコードを順番にスキャンせずにいられない読者が続出したようです。
 結果、同社のウェブサイトにはアクセスが集中し、「一時的にサーバーにつながりにくい状態になった」(同社宣伝部大迫寛史氏)ほどでした。

 この広告を多くの人がSNSに投稿しましたが、その中でも目立ったのは広告の制作に携わる人たちからの反応です。コピーライターの松田広宣さんがこの広告をツイッターで紹介したところ、3万を超える「いいね」が付き、多くのコメントが寄せられました。

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松田広宣さんのツイッター投稿

 広告関係者による「その手があったか!」というコメントには、楽しませてくれた喜びと、「やられた」という少しの悔しさがにじんでいるようで、苦悩してきた人たちだからそこ感じる本音が表れていました。
 掲載日から一週間でこの広告に関連するSNSの投稿は900万を超え、多くのネットメディアでも取り上げられて、広く拡散していきました。

読者の「調べたい」欲求を喚起する

 昨年11月に掲載された相鉄ホールディングスの広告にも多くの読者が目を留めました。

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 相模鉄道がJR東日本と相互直通運転を開始した告知ですが、紙面には車両の写真もキャッチコピーもなく、ただウェブサイトの「検索窓」が並ぶだけ。
 「検索窓」は新聞広告からウェブに誘導するための一般的な手法ですが、普通は企業名や製品名などの単語が入っていて、問い合わせ先と同じような扱いで紙面の片隅に小さく載っているものです。

 この広告は「主」と「従」を逆転させ、検索窓を紙面の中心に据え、しかも一見何の関連もないワードを重ねることで読者の「何だろう?」「調べたい」という欲求を喚起しています。それぞれの単語で検索すると、すべての結果が相互直通運転記念のショートムービー「100 YEARS TRAIN」につながります。

 シンプルながら画期的なアイデアと、二階堂ふみさんと染谷将太さんを主演に起用したショートムービーのクオリティの高さが話題になり、同社の特設サイトは「アクセス数が約3倍に増加し、ムービーは掲載後1週間で約300万に迫る再生数」(同社経営戦略室山城英哲氏)となりました。

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ショートムービー「100 YEARS TRAIN」

 デジタル技術や通信環境の進化はめざましく、今までは分断されていたオフライン=新聞とオンライン=ウェブサイトへの移動が簡単にできるようになりました。

 しかし重要なのは技術ではなく、「おもしろい」「感動した」「ウェブサイトを見てみたい」と思わせるアイデアであることは今後も変わりません。広告を見た読者が楽しみながら企業の情報にアクセスし、企業も十分なメッセージを伝えられる。両者が満足できるこのような広告がますます増えていくことが期待されます。

★日本経済新聞に掲載された話題の広告をSNS「日経広告手帖 速報板」で紹介しています。

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