コラム

「コロナ禍とメディア価値の高まり」

グローバル

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、パンデミックへの対策や支援策の情報を求める人たちによってニュースメディアのページビューは急増しました。危機の時代にどうしたらわが身を守れるのか、政府や社会はきちんと機能しているのか――。情報を集め、チェックしたいという読者ニーズが一気に高まっています。

とはいえ、無料でそれらしい情報をただ入手できればいい、という訳ではありません。無料ニュースの中には情報源をきちんと取材しないまま、憶測だけで記事を書いたり、ほかのニュースを転載したりしているだけのものも多く含まれるからです。正確で信頼できる情報を入手するためには、「その対価を支払うことに価値がある」と感じる読者が増えていることが重要なポイントです。

メディア産業の動向に詳しいオックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所によると、課金型メディアの購読数はここ数年かけて増加傾向にありました。6月に研究所がまとめた最新リポートで2019年の国別有料読者比率を見ると、米国では前年比4ポイント増の20%、ノルウェーでは8ポイント増の42%でした。米中間の貿易摩擦や主要国の保護主義政策への傾倒など、世界の政治・経済に先行き不透明感が強まるなか、課金型メディアへの投資が増えました。これは新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するよりも前の傾向なので、足元ではさらにこうした傾向が強まっていると考えられます。

実際に、Nikkei Asian Reviewでは年明け以降、読者の増加スピードが顕著になっています。2020年4月の訪問者数は497万超と、前年同月と比べ2.4倍に増えました。また月間のページビュー(PV)も4月に初めて1000万PVを超えました。前年同月からの成長率は2.7倍です。
新規に購読を開始した有料読者数も大幅に増えています。4月の有料購読のお申込みは過去最高を大幅に更新しました。米国、シンガポール、フィリピンなどから多くの申込みがありました。
(※上記の訪問者数、ページビューは全てGoogle Analytics調べ)

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特に読まれた記事で目立つのが、新型コロナウイルス関連や、その影響を受けた企業活動に関するものでした。5月下旬以降に掲載した記事では、ユニクロを展開する衣料品大手ファースト・リテイリングが夏用の涼しいマスクを発売したことを紹介したものや、インドネシアが中国の支援を受けて進めていた高速鉄道計画の遅れを受けて日本への打診を決めたことを報じた記事、5月に法的整理が決まったタイ航空の経営破綻にいたるまでを報じた記事がPV上位に並びました。いずれもアジア経済や企業の「今とこれから」を鮮明に伝える報道です。

Nikkei Asian Reviewのグローバル媒体としてのリーチの拡がりは国別データで見ても明らかです。3月はアメリカからの訪問者数が約90万と前年の2倍以上に増えました。フィリピンは4倍近く増え80万を超えました。シンガポール、マレーシア、タイなどアジア諸国でも総じて訪問者数が大幅に増えています。
(※上記の訪問者数、ページビューは全てGoogle Analytics調べ)

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前述のオックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所のリポートでは「すでに課金している人の8~9割は、来年も課金を継続する可能性がある」と指摘しています。さらに現在、無料購読している人のおよそ半数が「無料期間が終わった後に課金し始めるかもしれない」と回答しました。不確実で先の見通しにくい世の中だからこそ、質の高いメディアへの信頼感が高まっている証しといえそうです。



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