コラム

脱炭素経営に求められるリーダーシップとグローバルブランディング

グローバル
脱炭素経営に求められるリーダーシップとグローバルブランディング

今回はSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて世界的な取り組みが求められるなかで、SDGsと企業のグローバルなブランドイメージはどう紐づいていくのか、法政大学の長谷川直哉教授にお話をうかがいました。

高まるSDGsへの注目

近年、ESG(環境、社会、企業統治)を重視した投資が世界的なムーブメントとなり、企業が長期的に成長するためにはSDGsの観点が欠かせないという考え方が一段と浸透してきた。議論をけん引してきたのは国連と、それに呼応した年金基金などの機関投資家だ。投資家の間で、短期的な利益追求を改め、長期的に投資先企業の成長を支援するという理念が広がり、売上高や利益といった財務情報だけでは測れない「E・S・G」の非財務情報を重要視する流れが出来上がってきた。

投資家だけではない。エデルマン・ジャパンの調査によると、社会問題に対する企業の姿勢でブランドを評価する「ビリーフ・ドリブン(信念に基づく行動)」な消費者の割合が6割を占める。価値観の多様性や個性を重視するミレニアル世代にとって、サービス・商品を選択する際に、それを提供する企業に対して信頼・共感が持てるかどうかが大きなポイントになっている。社会問題に対して積極的に取り組む姿勢を示すことが、ステークホルダーの共感を勝ち取ることにつながる。

ゼロベースの見直しが経営改革に

SDGsが掲げる17項目のなかで、持続可能な社会を実現するための「1丁目1番地」が脱炭素社会の実現だ。資源とエネルギーを大量消費する20世紀型のビジネスモデルから転換が求められている。多くの企業はまだ躊躇しているかもしれないが、脱炭素経営は「できる・できない」の問題ではなく「する・しない」の選択肢しかない。ここで重要なのが経営者の決断だ。リーダーシップを発揮し、実行に移せるかどうか。ステークホルダーにとっては経営者の資質を見極める評価ポイントにもなる。

企業のSDGsへの取り組みは個々の事業部門ではなく全社的に取り組むべき課題だ。いまやCSR部門は多くの企業が設けているが、既存のビジネスのやり方、生産や設備のあり方をゼロベースで見直すことになるため、部門単体では進まない大きなテーマだからだ。CEO(最高経営責任者)自らが旗振り役となって経営改革として取り組んでほしい。

積極的なコミュニケーションを

こうした企業の取り組みを投資家や消費者はつぶさに見ている。CSR報告書や非財務情報と財務情報を組み合せた統合報告書といった投資家に対する開示ツールは揃ってきたが、積極的に活用できているとは言い難い。上場約3700社のうち非財務報告書を発行しているのは1000社程度にとどまる。ESG対策を経営にうまくビルトインし、成長とSDGsを結びつける発想を持てていない経営者は少なくない。

海外の機関投資家は英語で情報収集しているため、非財務報告書や統合報告書を英語で公開している企業のみがESG銘柄として評価されるケースも散見される。確かに、20、30年先の未来を想定した長期的プロセスを語ることは難しいことかもしれない。しかし、今はSDGsに対する進捗水準が低くとも、現状を明らかにし「これからどう取り組んでいくのか」のサステナブルストーリーを語ることが重要だ。投資家、消費者と建設的な対話をするため、企業がプロアクティブに発信する姿勢を打ち出すことがステークホルダーとの信頼構築につながる。

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