コラム

感染症拡大期における広告特集のありかた

新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な活動で自粛が求められています。やむを得ない事情で外出した際、人と人とで一定の距離を保つよう心がける「ソーシャルディスタンス」という考え方も徐々に浸透してきました。日本経済新聞では、企業のロゴマークの掲載位置を工夫して配置することによって、ソーシャルディスタンスの考え方を表現した広告特集「ソーシャルディスタンス―大切だから距離を取ろう。―」を掲載しました(2020年4月17日付け日本経済新聞朝刊)。また、マスク不足が叫ばれる中、紙面を折り畳むと実際にマスクが作れる「折り紙マスク特集」も実施(20年4月12日付け日本経済新聞朝刊)。いずれの特集も掲載日当日に紙面調査を実施。その調査結果も含めてご紹介し、感染症拡大期における広告特集のありかたを考えてみたいと思います。

ソーシャルディスタンスを社名ロゴで表現

 外出しない、人と集まらないことがソーシャルディスタンスの前提にあるわけですが、どうしても外出しないといけない際は約2メートルの距離をとるようにするというのがこの考え方です。
 特集紙面ではこの2メートルの距離を「新聞5面分」とイラスト入りで表現。紙面上部では、この企画主旨に賛同いただいた協賛社5社のロゴマークが “濃厚接触”しないように一定の距離をおいて、まるでソーシャルディスタンスを保っているかのように並んでいます。ボディコピーで「大切な皆さまへ。お会いしたいのですが、大切な皆さまを守るため今できる対応をしています。大切だから距離を取ろう。」と呼びかけました。紙面下部では「早く、いつも通りの距離感で並べるようにみんなで頑張りましょう。」として、5社のロゴマークをそれぞれ通常の距離で配置し、“これまでの日常、いつも通り”を表現しました。

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2020年4月17日付け日経朝刊「ソーシャルディスタンス特集」

「好感」「共感」平均以上の高評価

 掲載当日、J-MONITORという新聞広告調査プラットフォームで測定している調査を実施しました。その結果が下のグラフです。スコアを評価するにあたって、日経朝刊1ページカラー広告での平均値(2015年以降、2,634件)と比べてみます。

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 まず広告接触度ですが、81.8%と平均より高い注目を集めました。広告自体の評価「理解度」「興味度」「好感度」「信頼度」の4指標でも平均値を上回っています。感染症の感染拡大期というネガティブな雰囲気漂う世の中においても、「こんなご時世に広告するとはいかがなものか」とはならず、“ソーシャルディスタンスをとって共に頑張ろう”というしかるべきテーマ性を備えた特集に協賛することで、好感を獲得することができそうです。
 特筆すべきは広告の印象(クリエイティブ)評価で、「共感できる」「よい広告を出していると思う」「タイミングがよい」「話題性がある」は平均に比べてかなりの高評価。掲載日(4月17日)はまさに非常事態宣言の対象地域が全国に拡大した翌日であり、そのタイミングのよさが読者の共感を呼んだのだと思われます。
 「感染拡大期にロゴ広告を出す企業についてどう思うか」という質問もしてみました。その結果が下のグラフです。

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 いずれも半数を超えるポジティブな反応を得られていますが、特に「好感が持てる」「応援したくなる」は80%前後の高い評価となっています。
 この特集についての感想の自由回答を見てみると、「約2メートルを新聞5面分としているのが分かりやすい」などといった“表現”に関するコメントが多く、新聞の大きさで距離感をイメージさせる表現がうまく伝わった様子です。

タイミングのよさが高評価に直結

 「折り紙マスク特集」は日曜日付け朝刊NIKKEI The STYLE内の、特殊な白色の高品質な紙のページに掲載された特集です。大人用と子ども用それぞれのマスクを作れる“切り取り線と折り目”を紙面に描き、実際に親子で折り紙マスクの作成を通じて衛生やエチケットについて考える機会にしていただければという主旨で企画されました。紙面では、「日経AR」アプリを使って折り紙マスクの作り方の動画を見ることができる仕掛けも施されています。

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2020年4月12日付け日経朝刊「折り紙マスク特集」

 当企画に賛同いただき社名ロゴを出稿いただいた企業は7社。この特集もJ-MONITOR調査を実施しました。その結果が以下です。

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 この特集でも「よい広告を出していると思う」「タイミングがよい」「話題性がある」のスコアが高くなっています。「役に立つ」が特に高いのはマスクを実際に作れるというこの特集の仕掛けによるものかと思われます。
 自由回答を見ても、「子どもへの衛生・エチケットの啓発として実際マスクを作成するのは意味がある」「ファミリーを意識した温かさが感じられる」など、企画の主旨をよく理解いただいた回答が目立ちました。

自粛期に広告を出稿すること

 折しも自粛モードにあふれ、その同調圧力に影響されがちな時に掲載された特集ではありますが、いずれの特集も「タイミングがよい」「話題性がある」のスコアが特に高く、好感度も平均を大きく超えたスコアを獲得したことから、“売らんかな”の広告ではなく、時の情勢・空気をよく読んだタイムリーなテーマを掲げた広告や特集は、読者からの反感を買うことなく好意をもって受け取られるということが分かりました。新型コロナウイルス関連のニュースが数多く載っている紙面に、関連した特集が掲載され、一連のニュースとともに読者が触れるとき、そのテーマに対する共感がより高まるといっていいでしょう。
 日本経済新聞では、今後も
「頑張れニッポンの医療~今、医療崩壊を食い止めるために~」
「 実践『働き方改革』~テレワーク導入でBCP対策・生産性向上を~」
「『Biz Frontierシリーズ』新型コロナに負けない革新力」
「ヘルステック~従業員の健康を守る これからのヘルスケア~」
など、世の中の課題に向き合い、共に解決に取り組んでいく広告特集をいくつも企画し、掲載していく予定です。
またあらためてご紹介していきたいと思います。

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