コラム

新聞広告、「見る」より「読む」で深く刺さる

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新聞広告、「見る」より「読む」で深く刺さる

「最近、コピーに読み入ってしまう広告が増えている」。
今回は、先日上司と話をしている中で言われたことをきっかけにして考えたコラムです。

読み入ってしまうのはなぜだろう

「読む」と「見る」では何が違うのでしょうか。倉田敬子慶應義塾大学教授は論文の中で、「文字テキストは、直線的に読み進めることで、理解を形成していく。(中略)それに対して、絵や映像は全体を一瞬で見て理解される」と指摘しています。

この考え方をテレビ、インターネット、新聞の視聴・閲読に当てはめてみましょう。
テレビは映像と音声で豊かな表現ができます。視聴者はテレビ画面の動きのある映像と音をまず視覚と聴覚で受け止めます。その“受け止め度”は映像・音声のインパクトや印象によるところが大きくなります。視聴者の興味・関心に適ったコンテンツの受容度は高く、そうでないコンテンツはスルーされてしまいます。
インターネットは、動画、音声の豊かな表現が可能であるだけでなく、見る人がそのコンテンツを自由に制御できます。動画・音声を止めたり、読みたいテキストを検索したり、スクロールで好きな部分を表示したりできます。テレビより能動的に情報を摂取できます。ただ、ネットの情報は玉石混交。内容が正しかどうかには、何の裏付けも検証もありません。
一方、新聞には動きのある表現や音はありません。知りたい情報を検索して目の前に表示させることもできません。あるのは読者が手に取る紙と、そこに載る文章・写真です。しかし新聞は一度手に取ると、そのサイズ感と距離感をもって、読者の目の前にコンテンツ(メッセージ)を提示します。倉田教授が指摘する「直線的に読み進めることで、理解を形成していく」というのは、この閲読スタイルによるものといえます。

読者アンケートなどで新聞の読み方を聞くと、まず「見出しや記事スペースの大きさ」を見て重要性を判断し、それから「記事を読む」といった回答が多いのです。朝の忙しい時間は、必要な情報を効率的に摂取しようという閲読態度で新聞を開くことが多いでしょう。そんな時は、文字情報や分かりやすいコピーのほうが効率的かつ理性的に情報を判断できます。同じことは新聞広告についても言えます。新聞広告に読み入ってしまうということも、主要なメッセージを大きなメインコピーで訴求し、詳細な内容を文章(ボディコピー)で続けて伝えるという配置に起因しているのかもしれません。

文章主体の新聞らしい広告をピックアップ

新聞を読むことの特徴を踏まえて広告をピックアップし、広告に対する評価調査の結果などでその特徴を分析しました。
素材の選び方は具体的に
・イラストなどを多用せず文章主体
・大きなメインコピーを立てて、その後に小さい文字サイズのボディコピーを配置
・余白(ホワイトスペース)が広告原稿の半分程度を占めている
です。

読ませる広告、認知率高く

2018年11月以降に日本経済新聞朝刊に掲載された全15段以上の広告について、日経電子版の紙面ビューアーでの視認率・認知率スコアと、新聞広告調査プラットフォーム「J-MONITOR」の調査結果を見てみます。
上記ビューアースコアとJ-MONITORスコアのいずれもが存在する1,061点の広告について
①コピーが主体でメッセージ性のある「読ませる広告」(30点)
②上記以外の広告(1,031点)
の2タイプに分けて、それぞれのスコアの平均値を比較してみました。
「読ませる広告」とは例えば、以下のような広告をイメージしてください。

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日経電子版のビューアー視認率と認知率を比較したのが図表1です。

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視認率に大きな違いはありません。しかし認知率では「読ませる広告」のスコアが高くなっています。

カギを握る内容とメッセージ性

メインコピーを大きく配置し、ボディコピーを加えて構成した広告は、読者の目に長い時間とまっていることが分かります。
一方、広告に対する読者の評価調査であるJ-MONITORの結果はどうでしょうか。
「読ませる広告」のスコアが特に高かった項目は、「文章が読みやすい」「文字の大きさがちょうどよい」だけでなく、「タイミングがよい」「共感できる」「説得力がある」も含まれていました(図表2)。

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メインコピーとボディコピーで構成するレイアウトでありさえすれば見られるのではなく、内容とメッセージ性も重要な要素なのではないでしょうか(図表3)。

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読む労力が記憶に定着させる

読ませる広告は「興味度」「好感度」も高く、読者に深く浸透しています(図表4)。

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文章を読むという行為は、時間をかけ眼球を動かしながら文字を追い、内容を理解しようとすることです。人間にとって労力がかかります。近年の研究では、こういった労力こそ人間の記憶に定着させる重要な要素だという指摘もあります。
日本経済新聞は経済情報を主体としたメディアです。マクロ経済や企業活動に関する膨大なニュースが掲載されており、読者は丁寧に紙面を読んでいます。その読者の記憶に残る広告とするには、タイムリーで分かりやすいコピーと内容が大事だと思います。

いま、新型コロナウイルスの感染が拡大して社会に不安が高まっています。こうした非常時には真偽の不確かな情報でも拡散しやすいものです。企業活動を社会にしっかり理解してもらうには、、広告を掲載する媒体の信頼性が大事となります。新聞は信頼性が高いメディアです。報道機関であるという担保、保障があるからです。人々の心に届けるメッセージ性のある広告は、新聞が最も適しているといえるでしょう。
メディアの価値が再評価されています。新聞広告の強みが発揮できる時なのではないでしょうか。

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