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販促広告、ブランド構築への効果は限定的 -FT-IPA共同論文Vol3-

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販促広告、ブランド構築への効果は限定的 -FT-IPA共同論文Vol3-

フィナンシャルタイムズと英国ロンドンの広告研究所The Institute of Practitioners in Advertising(IPA)が共同で研究した論文の第3回目をご紹介します。今回のテーマは販促広告とブランディング広告の特徴比較です。販促広告は短期的な効果、ブランディング広告は長期的累積効果がありますが、更なる分析を紹介します。

販促(安売り)の広告は顧客がすぐに注目しますが、シェア拡大は短期にとどまり、利益への貢献も限定的です。一方、ストーリーのあるブランド広告は、長期的にシェアと利益の拡大に結び付きます。

シェア拡大にはブランド力の向上で

マーケティングの調査研究機関であるIPA Effectiveness Databankは40年にわたって、広告が財務面に与える影響を分析してきました。販促広告とブランディング広告の結果も比較できます。調査によると、キャンペーン期間が短くても、販促広告よりブランディング広告の方がキャンペーン後のシェア(市場占有率)の増加幅が大きくなる傾向がありました。この差はキャンペーン期間が長くなると、より広がります。ブランディング広告はシェア拡大だけでなく、消費者の価格に対する感度を鈍くして、利益を増加させる効果も見られました。成果を出している企業は両方を使い分けています。

ブランディング広告は長期にわたって累積的な効果

ブランディング広告と販促広告は異なる働きをします。販促広告は家計の負担が軽く、絶好の購入機会であるというメッセージを用いて、割引キャンペーンを早く利用するように訴えます。企業は短期間で販売量を増やすことができます。しかし消費者がそのブランドのことを考えたり感じたりすることはほぼありません。販売量を継続的に増加させることもほとんどありません。競合ブランドが同様の価格プロモーションを実施すると、消費者の多くが価格の低いほうに乗り換えてしまいます。利幅は減り、将来的な値上げは難しくなるでしょう。
図2のように感情に訴えるブランディング広告は、長い時間をかけて消費者にブランドの強さを印象づけ、記憶に残します。企業は価格設定を自らコントロールしながら販売量を増加させ、ブランド価値の向上による長期的な累積効果が期待できます。ブランドイメージの好感度を高め、売れ行きが価格に左右されにくくなります。

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「ブランディング広告がもたらす経済的効果は、表れるまでに時間がかかるが長期間持続する」ということを示す概念図

成功の鍵は感情に訴えるクリエーティブ

ギネスやアウディ(いずれもIPA Effectiveness Award受賞)などのキャンペーンに見られるクリエーティブや展開の巧みさはプロをもうならせるものです。こうした成功例の共通点は、感情に訴えかけるクリエーティブな広告を戦略的に貫き通したことです。消費者は「好感が持てて、個性的で、プレミアム価格にふさわしい」と思い続けます。ブランディング広告は、販促広告よりも利益を大きく増加させ、キャンペーン期間が長くなるとともに差を広げます。販促広告が消費者に与える効果は短期的です。消費者に長く愛されるブランドを構築しようとするならば、販促広告は選ぶべき戦略ではありません。

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