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ブランディング広告で利益の長期的最大化を -FT-IPA共同論文Vol4

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ブランディング広告で利益の長期的最大化を -FT-IPA共同論文Vol4

先日のコラム に続き、フィナンシャルタイムズと英国ロンドンの広告研究所The Institute of Practitioners in Advertising(IPA)が共同で研究した論文をご紹介します。今回のテーマはマーケティングと広告戦略においても参考になりそうです。


ブランディング広告は長期的に利益貢献

IPAはこれまで、効果的な広告に関するデータやケーススタディーを収集してきました。
このデータを使い、さまざまな期間にわたる広告戦略が生み出す利益を分析できます。
短期間で成果を出す目的の「販促広告」は、短期的には効果的で、大きな利益を生み出せると考えられます。しかし利益を最大化するには、時間の経過とともにブランドの認識を変化させる「ブランディング広告」の方が効果的です。広告においては、キャンペーンの実施期間と利益の増加幅は密接に関係しています。その理由を説明します。

短期的広告は利益の機会損失リスク

効果的な広告を表彰するIPA Effective Awardsでは2006年から16年までの10年間で、実施期間6カ月以内の短期的な広告キャンペーンのエントリー数が全体に占める割合が8%から25%に上昇しました。
しかしIPA Effectiveness Databankのデータによると、ブランディング広告を長期にわたって出稿している企業は、短期的な広告キャンペーンを実施している企業と比較して「利益が増大した」割合が高くなっています(図1)。
そしてブランディング広告を出稿する期間が長ければ長いほど、利益を増やす企業が多くなります。短期的な広告ばかりを出稿していると、企業は持続的な利益拡大のチャンスを逃す危険性があります。ブランディングは時間がかかりますが、そこから得られる利益は広告出稿の期間が長いほど増えていきます。

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図1:効果的で長期的な広告キャンペーンは利益成長に結びつく

ブランディング広告、利益の増加と高い相関

IPA Effectiveness Awardsでは応募者に広告投入量を詳細に記述してもらい、その結果としてビジネスに与えた影響を定量化しています。応募者はその影響に対する疑問に厳密に反証しなくてはいけません。
広告を構成する要素間の関係を分析し、利益の増加などの成果と統計的に最も相関関係が強い要素を特定できます。下の表は、この内訳を示しています。
収益性と最も強い相関関係が見られたのは、広告キャンペーンが売り上げ増やシェア(市場占有率)拡大などに直接影響を与えたケースでした。
図2から、購入するブランドとして選ばれる順位を高めたり、他のブラントとの違いを強調したりする「ブランディング広告」がもたらす効果は、短期的な「販促広告」がもたらす効果に比べて、利益の増加とより強い相関関係があることが明らかです。
販促広告が短期間にどれだけの効果を生み出すかを計算するマーケティング投資収益率(ROMI)は、利益拡大との相関関係が弱いことも示されています。

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図2:IPA Effectiveness Awardsの事例に見る利益成長と関連性が高い項目

DFS、アニメキャラ導入で認知度と好感度が上昇

2006年から10年の間に推定4億9,100万ポンドを費やし、主にセールや期間限定プロモーションを行ってきたソファ小売店DFSは、「今すぐに行動を起こさせる」販促広告でよく知られていました。
しかし顧客基盤を広げるため、ブランドの認知度と好感度を高め、DFSの店舗やセールに新たな顧客を引きつけ必要が出てきたのです。
広告でのアニメキャラクターの導入やスポンサーシップなどでブランドの訴求力を高めながら、従来の顧客も販促広告を使ったセールスに誘導し続けることができました。
数年間のキャンペーンを経て、同社の製品ブランドが他社よりも選ばれるようになり、来店者数や予約数の増加、最終的には利益の増加につながったことが明らかとなりました(図3)。
この戦略は2018年IPA Effectiveness Awardを受賞しました。
DFSや他の広告主にとって利益を拡大するために、ブランディング広告による長期的なアプローチがいかに重要であるかが分かります。

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図3:選ばれるブランドとなり、DFSは利益成長を達成した
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