コラム

アスクル 買い占めを防ぎ商品を必要な人に BtoBマーケティングアワード大賞

デジタル
アスクル 買い占めを防ぎ商品を必要な人に BtoBマーケティングアワード大賞

2020年から始まった「NIKKEI BtoBデジタルマーケティングアワード」の第1回大賞とブランディング賞を受賞したアスクル。同社はコロナ禍での衛生用品の買い占めなどに対応し、顧客の属性や購買データから、本当に必要とするユーザーを特定、優先的に提供する取り組みを進めた。実際に「売らないマーケティング」を進めるにあたり、どのように課題に対処していったのか、ASKUL事業本部 執行役員 本部長の宮澤典友氏に聞いた。

3つの壁を乗り越え、メーカーなどから評価

今回の取り組みは、新型コロナの感染が拡大するなか、当社だからできる社会課題の解決を模索した結果、実施したものです。これが高く評価され、大賞とブランディング賞を受賞することができ、非常に驚くとともに大変うれしく思っています。
買い占めなどによる衛生用品などの需給バランスの悪化を防ごうと始めたプロジェクトですが、いってみれば「売らないマーケティング」とあって、乗り越えなければならない「壁」が3つありました。
まず課題となったのが、「商品を購入できる顧客」と「できない顧客」に区別することが、正しいことなのかということでした。侃々諤々(かんかんがくがく)の議論がありましたが、当社の企業理念「お客様のために進化する」、BtoB事業が掲げるミッション「働く人のライフラインとして全ての仕事場に信頼されるサービスを提供する」、この2つの価値観からコンセンサスを得ることができました。
次の課題はメーカー、サプライヤーの協力でした。優先的な商品供給がなければ計画は実現できません。難しいかと思っていたのですが、話を持って行くと、逆にこちらが驚くほどの好反応でした。
3つめの課題がシステムの構築でした。これは2年ほど前の組織改革で、事業部門ごとにデータサイエンティストとエンジニアを配置していたことが効果を発揮して、短期間でシステムを構築することができました。
当初、商品購入をできない顧客から多くの批判が寄せられることを覚悟していましたが、クレームはほとんどなく、メーカーやサプライヤーからも評価を得ることができました。また、スモールスタートに始まり、政府との協業にまで発展していく過程で、関わったメンバーは「やはり正しいことは認めてもらえる」との思いを強めることができました。今後は今回の取り組みを進化させて、災害時に被災地へ必要とされる商品を確実に届けられる仕組みとすることを検討しています。
当社は最も早く、最も安心できる「無意識EC(電子商取引)」の実現をめざしています。そのためには、ビジネスチームとデータサイエンティスト、エンジニアが一体となることがさらに大切になります。当社は現在、大規模なシステム開発を検討していますが、社内だけでなくパートナー企業とも一体になって、従来型の発注者と受託者の請負型ではない、組織や担当領域の壁を越えた新しいシステム開発モデルに挑戦したいと考えています。こうした取り組みが、新しいマーケティングに結びつくかもしれないと期待しています。

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